聴くことノート

関係性が生み出す個性~人は何者にでもなれる~

こころを耕す聴くことノートです。岩田が話を聴く際に大事にしていることをお届します。

ボスのボス

私が小学生の頃、父の後ろについて大人の飲み会に参加したことがありました。10人くらいいたと思いますが、その中心に大きな声で怒鳴り散らしている人がいました。集まる大人たちを子供のように扱い、真っ赤に上気した顔でとても気分が良さそうでした。まさにボスといった様子です。私は幼いながら父をはじめ周りの大人がビクビクしている様子が分かり、嫌な空気だなと思いました。1時間くらいして私が空気から逃げるようにトイレに行くと、少し間を置いて、なんとボスが入ってきました。私はビクっと身を縮めましたが何だかボスの様子が変です。彼は携帯電話で小声で喋っています。良く聞いてみると「はい、申し訳ありません。本当にごめんなさい。もう少しで帰ります。はい、すみません、、、」と、かなりビクビクしながら謝り続けているのです。おそらく奥さんを相手にしていたのでしょうが、先ほど周りにいた大人たちと比較にならない位ビクビクしていた様子に幼い私はとても不思議な感覚を覚えました。

個性は関係性の中で表現されるもの

そのボスにとっては子分たちを前に偉そうにしている時が居心地の良い時間だったのでしょう。家に帰るともっと恐ろしいボスに頭が上がりませんから。また、周りにいた大人たちはボスにはビクビクしていましたが、家に帰れば誰かのパパであり、仕事場では上司だったり同僚だったり、様々な関係性があります。人の個性は関係性の中で表現されるものであり、傾向性はあってもそれがその人の全てではありません。「自分が嫌い」「自分の性格を変えたい」と想った時、どの場面で、どの立場での自分が上手く対応できていないのか、違和感があるのか。人それぞれ得意な状況、不得意な状況があります。Aさんみたいな人とは話し易いけど、Bさんみたいな人とは話しにくいというのはありますよね。ただ実はAさんから見てもあなたと話しやすいし、Bさんから見てもあなたと話しにくいのですけどね。

カウンセラーとクライアントの関係性

私はカウンセリングに来てくれる方は皆ヒーローだと感じます。悩んでいて何もする気が起きない、死んでしまいたいと思っている。それは、そうなってしまうだけの、そうならざるを得ないだけの経験が積み重なってしまっているからでしょう。本来は自分の大切な価値観、貴重な個性を活かせる場があるのに、それに出会えず自分に合わない環境にいてパワーを削られてしまっていることが多いのです。私はクライアントさんのパワーが回復するのを手助けできるかもしれませんが、自分の力で立ち上がるだけのエネルギーがあることを知っています。悩みを解決して自分の人生を切り開く能力があることを知っています。何故なら皆ヒーローなのですから。私はあなたにとってのボスでもなく、部下でもなく、気を遣う人でもなく、あなたが素のままを表現できる人で在りたいなと思います。

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